インタビュー

開院のきっかけを教えてください。
院長 長谷川 慎一の写真 私は横浜市立大学医学部を卒業し、大学病院や県内の総合病院、県立がんセンターなどで診療にあたってきました。そして自分のクリニックの開院を考えるにあたって、地域の中で様々な病気を診る「総合診療医・かかりつけ医」であると同時に、これまで専門にしてきた「消化器疾患の診療」と「がん診療」の提供を両立することにチャレンジしたいと思うようになりました。
大学時代からの旧知の仲だった整形外科の梅本裕介先生と同時期に開院を考えていたこともあり、縁あって同じビルで同時に開院することになりました。
もともと私が所属していた医局は消化器疾患以外にも呼吸器、心臓血管、救急、小児、内分泌・乳腺などの分野も含まれていましたので、多様な分野の疾患を診ることに不安はありませんでした。
実際に診療が始まってみていかがですか?
クリニックの開院という初めての経験を通じて、いろいろなことを学びました。
素晴らしいスタッフにも恵まれ、毎日忙しく診療しています。
患者さんのお話をじっくりと伺って、一人ひとりの不安や悩みを解決していく毎日はとても充実しています。
病院に勤務していた時との違いを感じることはありますか?
病院では自分ひとりが毎日外来を担当するわけではありません。連続して通院が必要な患者さんであっても、私が診た翌日は別の医師が担当し、その翌日はまた違う医師・・・となることが普通で、私が診るのは翌週になってしまいます。 一方でクリニックであれば毎日私が診療できますので、昨日と比べて顔色がよくなったとか、昨日にはなかった症状が出てきたとか、患者さんの変化を追いながら適切な診療ができます。
また私がここで10年、20年、30年・・・と診療を続けていく中で、最初はお子さまだった患者さんが成人し、やがて生活習慣病に注意する年代になったり、ご結婚してそのお子さんを診療したりと、その方の一生を見守っていくこともできますので、大変楽しみですね。
先生はどんなときにやりがいを感じられますか?
当院での治療がうまくいったり、当院で診断したご病気を紹介先の病院で治療するなど、患者さんがつらい症状から解放され、喜んでいただいたときが一番うれしいですね。
私は広い意味では、医療を一種のサービス業と捉えています。患者さんのご希望にはできる限り応え、その方が求める医療を提供したいという気持ちが根本にあります。
まったく同じ病状でも、目の前にいる患者さんが求める医療は実はバラバラです。正反対であることすら珍しくありません。検査結果を詳しく知ると安心できる方、逆に検査を好まれない方、薬が必要と思う方、あまり飲みたいと思われない方など、患者さんの考え方、好みやお気持ちを考えながら、ある程度は察しながら、一人ひとり個別に診療を組み立てます。
患者さんの様々な希望に応えていくためには、ご自分の希望を医師に伝えることが大前提ですから、患者さんがどんなことでも話しやすい、少々のわがままも言いやすい関係を作り上げることが大切で、そうなれば自然と信頼関係も築けると思っています。
先生のクリニックの特徴はどんなところにあるとお考えですか?
私はとにかく地域の皆さまが求める医療を提供して、皆様の健康に貢献したいという思いでクリニックを始めました。どんなクリニックが求められているか、たくさんの患者さんのお話をお聞きしながら真剣に考えました。 この地域における私のクリニックの役割は次の3つであると考えています。
質の高い内科診療・総合診療を提供すること、消化器疾患の専門診療を提供すること、地域の中で「がんの専門医」としてあらゆる「がんの診療」を提供することです。

「総合診療医」として、あらゆる症状や疾患に対応する

まずは最初にお話された「かかりつけ医」としての診療ですね。
院長 長谷川 慎一の写真 その通りです。高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病を管理することは大変重要ですが、どちらかというと「将来の自分のための治療」であって、今どこかが痛いわけではありません。しかし生活習慣病の管理を怠ると、将来心筋梗塞で突然死するリスクが上昇しますし、晩年を脳卒中のため寝たきりで過ごすといったことになりかねません。 「かかりつけ医の役割」は単にお薬を処方することではなく、自発的に健康管理ができるように動機づけすることが重要であると感じています。
医師の立場からするとお薬の治療が必要と感じても、薬を毎日飲むことに抵抗がある患者さんもいらっしゃいます。無理に内服治療を強いるのではなく、患者さん一人ひとりの考え方を尊重しつつ、治療の大切さを理解してもらうことが先決です。動機づけがうまくいけば、食事療法と運動療法だけでコントロールできることも少なくありません。
「総合診療」とはどういうことですか?
最近、どこの大学病院でも「総合診療科」という科がみられるようになってきました。
総合診療とは、特定の臓器や疾患としてではなく、一人の患者さんとして多角的、全人的に診療を行うことです。
大学病院は、高度の専門的診療を提供するという社会的役割がありますが、専門領域以外の症状や疾患は別の専門科の医師に診療を依頼するため、例えば糖尿病で通院している主治医に蕁麻疹の相談をしたら、別の日に同じ病院の皮膚科を受診することになった、といったことがおきます。 理想的な医療の形としては、かかりつけ医が「総合診療」として一次診療を行い、専門医受診の必要性を判断するのが良いと考えます。例えば糖尿病で当院に通院中の方が「トイレが近くなった」「眠れない」といった訴えがあれば、まずよくお話をお聞きして診察し、原因について考察した上で、当院で治療を開始するか、専門医をご紹介するかの判断をします。詳しいお話も聞かずに「泌尿器科へ」「神経科へ」とはいいません。
当院での診療より専門医の診療が適切であると判断すれば、適切な専門医にご紹介します。
どちらの病院へ紹介されるのですか?
私は特定の医療機関に紹介するのではなく、まず患者さんの希望をお聞きします。
いつもかかっている病院がある方であれば、これまでの治療歴や検査データがありますからその病院にご紹介できるかどうかをまず考えます。
当院は、あらゆる病院と連携しておりますので、ほぼすべての医療機関にご紹介可能です。
特にご希望の病院がなく、勧めて欲しいという患者さんには、その方の病状、生活環境や地理的なことを総合して適切な医療機関を判断し紹介します。

消化器疾患の専門診療を提供する

次に先生がご専門の消化器疾患についてお聞かせください。
院長 長谷川 慎一の写真 消化器疾患は「消化管(食道、胃、小腸、大腸、肛門)」と「肝臓、胆嚢、膵臓」の疾患があります。胃の痛み、胸やけ、吐き気、腹痛、便秘などの便通異常などはご相談ください。
「何となくだるい」という症状から肝臓の疾患が見つかることもありますし、「胃が痛い、背中が痛い」という症状から膵臓の疾患が見つかることもあります。
正確な診断があって初めて適切な治療ができますから、腹部レントゲン、胃・大腸内視鏡検査、腹部超音波などの検査は充実しています。
CTやMRI等の画像診断も近隣医療機関と提携し、必要な場合には当日に実施することも可能です。
消化管の診断に内視鏡は不可欠ですが、内視鏡検査は苦しいというイメージをお持ちの方が大変多いかと思います。確かに一度つらい思いをされてしまうと二度と検査を受けたくないと思われるのは当然のことです。しかしそれは結果として重大な病気を早期に発見するチャンスを奪っていることになります。
正確な診断はもちろんですが、なるべく楽に検査を受けることも私は重視しています。

がん薬物療法専門医として、地域のがん診療に貢献する

消化器以外に、がんもご専門と伺いました。
院長 長谷川 慎一の写真 これまで私は、大学病院やがんセンターに勤務しているときには、胃がん、大腸がんをはじめ、肺がん、乳がん、甲状腺がんなど様々な手術を執刀してきました。
一方で私は日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医でもあり、多くの抗がん剤治療も行ってきました。
がん治療は手術のような「局所治療」と抗がん剤のような「全身治療」の組み合わせで成り立ちます。「がん薬物療法専門医」は、すべてのがん腫についての知識が求められます。
つまり消化器がんだけでなく、前立腺がんも、白血病も、卵巣がんも脳腫瘍も、すべてのがんの治療を理解している必要があります。
当院はあらゆる症状の方の診療を行いますので、例えば前立腺がん、白血病、卵巣がん、脳腫瘍の患者さんが最初に当院を訪れるかもしれません。そんな時も早期に診断して適切な治療を受けられるよう、知識や経験をフル稼働させています。
がんの専門医の先生はがんセンターなどの専門病院にいらっしゃるイメージですが・・・
その通りです。「がん薬物療法専門医」の多くは大学病院、がんセンターなど専門施設でがん診療の中心的な役割を果たしています。もちろんがんの治療は、「手術」、「抗がん剤」、「放射線治療」が3本柱ですから大学病院やがんセンターなど専門病院、基幹病院で受けるのが一般的ですが、私はがん治療を受ける際は「ダブル主治医」をお勧めしています。
専門病院の主治医と、かかりつけのがん専門医と二人の主治医がそれぞれその方の病状と治療の進行を理解していることが理想です。
がんセンターに勤務していた時にしばしば経験したのは、自分の患者さんから「具合が悪い」とお電話いただいても手術中で対応が難しいことがよくありました。
例えばそんな時にがんの治療を理解している「もう一人の主治医」が自宅の近所にいてまず対応できれば、患者さんにも、専門病院の主治医の先生にもメリットになるのではないかと思います。実際に専門病院で治療を受けながら当院に通院されている方も多くいらっしゃいますが、がんセンターの先生には聞きにくかった、時間がなくて聞けなかったことが聞けたと喜んでいただいております。また専門病院での治療を終えた方でも、身近な存在としてがん治療に詳しい医師が健康管理や定期健診を担当することで、心強く感じてくださる方がいればうれしいですね。
がんを早期診断し、薬物療法、支持療法、緩和療法まで、地域の中でがん診療をトータルに手がけるクリニックとして貢献していきたいです。

こまやかな気遣いで通いやすいクリニックをめざす

初診の場合でも予約できますか?
院長 長谷川 慎一の写真 はい、当院に受診したことがない初診の患者さんでもお電話で予約をとることができます。一般診療はもちろん、横浜市が実施する健康診断、がん検診、予防接種(成人・小児)をはじめ、会社の入職時健診、定期健診、施設入所時の健康診断など、当院で実施可能です。
予約の際に、簡単に受診理由をお知らせいただければ、お電話でも詳しくご説明します。
胃内視鏡検査、大腸内視鏡検査もお電話で予約が可能ですが、大腸内視鏡は検査前に下剤を飲んでいただく必要があるため、検査前に一度来院していただく必要があります。
一方で、急な体調不良の際には予約のない患者さんでも、お断りすることなく必ず診療を行っています。
正確な診断と適切な治療には、丁寧な問診や診察が不可欠なので、混雑を理由に診療を簡潔にすることはありません。
時には待ち時間でご不便をおかけすることもありますが、私をはじめスタッフ一同、診療の質を落とすことなく待ち時間を短縮できるよう日々努めています。
最後になりますが、クリニックの目標を教えてください。
地域の皆さまがいつまでも健康で、元気に長生きできることですね。
生活習慣病をできるだけコントロールして突然死や脳卒中による寝たきりを未然に防ぐこと、がんを早期に診断、治療して寿命を大幅に延ばすことが目標と言えます。まずは当院の近隣から胃がんと大腸がんで亡くなる方をゼロにしたいですね。
早期に内視鏡検査を受けていただき、胃のピロリ菌を除菌する、癌化のおそれがある大腸のポリープを内視鏡で切除するなど、死亡リスクを減らすことは十分に可能です。
また生活の質(QOL)を保つためには足腰が丈夫で痛みがないことが内科としても大変重要ですので、当院に隣接するうめもと整形外科の梅本先生とも連携しながら、患者さんとそのご家族をトータルでサポートできるよう、努力を続けていきたいと考えています。

どうもありがとうございました。